パトロンとは

パトロンとは何か?と考えると、女の子のパーソナリティーにお金を払うものだと思う。それは援助交際のように1回こっきりの関係ではないし、見返りを求めるものでもないのだろう。
以前から、僕はある地下アイドルの大ファンだった。露出が多いメジャーアイドルよりは、誰も知らないような地下アイドルを応援することで「この子は僕が発掘したんだ」「この子の魅力を知るのは僕だけだ」と言ったような優越感が満たされる。
ただ、挫折していつの間にか消えていく地下アイドルは多い。大半はやっぱりお金の問題だ。客席が埋まらないライブの光景を見ていると、致し方なしと言おうか。
彼女も、そんな売れない地下アイドルの一人だった。ただし、売れない分、彼女とは撮影会やお茶会などのイベントでお近づきになれるシチュエーションがたくさんあった。
アイドル活動での儲けは知れている。同年代のOLの足元にも及ばない額だ。
しかし、子供の頃からの夢だったアイドル歌手は続けたい。そのため、アルバイトしながらの活動である、だが、生活を成り立たせるためにアルバイトの時間が割かれて、自身のレベルアップをする時間が捻出できないジレンマがあるらしい。
パトロンになろうか?と持ち掛けたのは僕だった。僕だってそんなに稼ぎがあるわけではないが、彼女がアルバイトで稼ぐ額くらいは援助することができる。
パトロンの意味も知らなかった私がイギリス留学費用の支援を得るまで
だが、僕もいっぱしの男性である。援助する代わりに、彼女とデートしたいし、できればセックスもしたい。
しかし、セックスをしてしまうと、僕の中で彼女はアイドルではなくなってしまうような気がする。欲望に飢えた野郎にお金のために体を開く単なるメス犬だ。
僕の申し出を彼女は考えてくれていたようだった。即座に断ると思っていた僕は、あわてて「冗談だから」と発言を取り消した。
それ以降も、僕と彼女はアイドルとファンと言う関係を続けた。未だにアルバイトを続けているのかはわからないが、僕はこれでよかったんだ、と思った。
それから1年後に、彼女は引退した。できちゃった婚だ。
アイドルをやりながら彼女は特定の男とやることはやっていたわけだ。あの時、彼女が僕の申し出を受け入れてパトロンになっていたらどうなっていたのだろう?と思った。
わりきり
わりきり